不在者が相続人にいる場合の遺産分割

相続人に行方不明者がいる場合は、法的に決められた方法により遺産分割協議を進め、相続人全員の合意を得る必要があります。行方不明者がいるにも関わらず他の相続人のみで遺産分割協議したものについては無効となりますので注意が必要です。

相続人の中に行方不明者がいる場合の遺産分割協議の方法

①失踪宣告をしてから遺産分割をする

行方不明者は、従来の住所を去ってから7年以上、もしくは戦争や遭難などの危難により1年以上生死が不明という場合において、家庭裁判所へと失踪宣告の申立てを行う事が出来ます。この失踪宣告の申立てが認められると、行方不明者は法的に死亡したものとみなされます。

死亡日について

1)従来の住所地を去って7年以上行方が分からない場合

→その人の生存確認がとれた最後の日より7年経過した時点が死亡日

2)危難に遭遇し行方が分からない場合

→危難の遭遇時点が死亡日

◆協議分割での注意点

失踪宣告が認められ、行方不明者は死亡したものとみなされた場合でも、その人の持っていた相続権が失われる事はありません。従って、失踪宣告の申立てが認められた際には、相続人と”行方不明者の相続人”を含めた全員で遺産分割協議を進めます。

例)行方不明者の失踪宣告を申し立てた場合

被相続人

A(6年前に死亡)

Aの相続人

B,C,D

*Bは行方不明から10年間が経過(普通失踪)

相続人CとDが6年前に死亡したAxについての遺産分割を進めていましたが、相続人であるBが10年前から行方不明であることがわかり、Bについて失踪宣告を行い、7年前に死亡したとみなされました。

行方不明であるBは被相続人のAより先に亡くなっているとされる為、Bに子がいた場合、Aの相続財産はBの子が代襲相続します。従ってAの相続人はC,DとBの子となり、この3人が遺産分割協議に参加することになります。

②行方不明者(不在者)の財産管理人を選任してから遺産分割をする

行方不明の相続人が、従来の住所を去って7年以上ないし、災害、戦争などの危難により1年以上行方が分からない場合は前述の対応が可能です。しかし、これらの期間が経過していない場合に遺産分割が必要となった場合は、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所へ申立てます。そこで選任された不在者財産管理人が、行方不明者の相続人の代理人として遺産分割協議に参加します。

遺産分割協議の関連項目

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